養育費の支払いは親の義務!きちんと支払わないとどうなる?
公開日:2022/12/01 最終更新日:2022/11/21
離婚して親権を取らなかった片方の親は、親の責任として同居親に対して養育費を支払わなければなりません。養育費の支払いは義務とされていますが、どのような法律なのか、さらに支払いが滞った場合はどのようになるのでしょうか。そこで本記事では、養育費とは何か、支払わなければどうなるのかなどを解説します。
養育費の支払いは法律で義務付けられている
厚生労働省が2019年に実施した調査によると、年間の離婚件数は約20万9千件、離婚率は約35%となっています。一方、年間の婚姻件数は約60万件なので、3組に1組の夫婦が離婚するとわかります。
性格の不一致や異性関係、DVなどが離婚の原因となって別れるケースが多いのですが、ふたりの間に未成年のお子さんがいる場合は養育費について話し合わなければなりません。
というのも、離婚する夫婦の間に未成年の子どもがいる場合は、どちらが親権を取るのかを決め、さらに養育費の支払いについても協議する必要があるからです。
養育費とは、離婚後に子どもと同居しない親が、子どもと同居する親に対して、子どもを育てるための費用を支払う法律上の義務のことです。また、最低限の生活ができる扶養義務ではなく、生活保護義務であることがポイントです。
生活保護義務とは、子どもと同居しない親がする生活と同等水準の生活を、扶養される側にも与えることです。つまり、相手がギリギリ生活できる金額を支払うのではなく、支払う側と扶養される側が同等水準の生活を保てるように金額が設定されます。
また、借金がある、生活が苦しいという理由で支払いを断ることはできません。養育費を支払う側は、自分の生活水準を落としてでも支払う義務があるのです。ただ、言い値で支払う必要はなく、金額の目安が決められています。
養育費を支払わないとどうなる?
一度取り決めた養育費について、何らかの事情で支払えなくなった場合どうなるのでしょうか。養育費はこれまで解説した通り、法律上の義務なので必ず支払わなければならないものです。そのため、未払いになると裁判所から履行勧告を受けたり、履行命令が出されたりします。
履行命令を受けたにもかかわらず未払いの状態が続くと、10万円以下の過料に処せられるという制裁が生じることもあります。最終的には相手が強制執行を申し立てると、財産や給与を差し押さえられる可能性があります。
履行勧告や命令は、離婚時に裁判所で調停や裁判で取り決めた内容にだけ適用されるので、ふたりだけの話し合いで決めた内容には利用できません。ただし、経済状況が変わった場合は、減額請求できるケースもあります。
養育費の支払義務はいつまで続く?
養育費は、原則として子どもが20歳になるまで支払わなければなりません。これは民法で成人年齢が20歳と決められているからです。ところが、令和4年から成人年齢が20歳から18歳に引き下げになったため、支払い期間が変更になるのか気になる方も多いでしょう。
結論からいうと、民法改正により成人年齢が18歳になったとしても、現状、養育費の支払い義務は20歳までとなっています。そのため、成人年齢の引き下げによる支払期間の変更は生じていません。
また、家庭によっては、子どもが大学を卒業する22歳まで養育費を支払ってほしいと考えることもあるでしょう。離婚する夫婦同士で話し合い、双方が同意できれば22歳まで支払うことになりますが、同意でまとまらなければ裁判所の判断に任せることになります。
ただし、特別な事情がない限りは20歳までと考えておきましょう。
養育費の支払い条件を変更することは可能?
一度決めた養育費について、条件の変更が認められるケースがあります。
まず、子どもと同居している親の収入が減った場合、養育費の増額になり、反対に収入が増えれば減額となります。たとえば、再婚して配偶者が子どもと養子縁組をした場合は、収入状況によって免除または減額が認められるのです。
一方、養育費を支払う側の収入に増減が発生した場合も、減額または増額が認められるケースがあります。なお、非同居親が再婚して、新たに子どもが生まれたときは、減額請求が可能です。
ただし、無断で借金を作ったり、ギャンブルや浪費で生活が苦しくなったり、さらに収入を減らそうと意図的に働かないなどの場合は、減額が認められません。
まとめ
養育費の支払いは法律上の義務であるため、借金があったり、生活が苦しかったりしても支払いが免除されることはありません。ただ、きちんと話し合っておかなければトラブルになるケースが多いため、弁護士に相談して法的に処理を進め、適切な形で双方が合意しておくことが大切です。
また、お互いの経済状況が変わったり、再婚したりした場合は、増額また減額になる可能性があります。ただし、浪費やギャンブル、勝手に作った借金などを理由に金額を変更することはできないため、きちんと仕組みを理解しておくようにしましょう。