養育費はどう計算する?計算方法や注意点についてご紹介!
公開日:2023/01/15 最終更新日:2023/01/12
お子さんがいる夫婦が離婚することになった際、問題になりやすいのが養育費についてです。養育費とは、子どもが社会的に自立するまでに必要な費用のことですが、離れて暮らすことになっても親として養育費を支払う義務があります。この記事では、養育費の計算方法、決めるときの注意点をご紹介します。
養育費の基本となる過去の収入の調べ方
はじめに、養育費を決める基本となる、両親の過去の収入の調べ方を解説します。しかしその前に、養育費とはなんなのか、簡単に確認しておきましょう。
︎養育費とは
養育費とは、まだ未成熟な子どもが社会的に自立するまでにかかる費用のことです。親は養育費を支払う法的義務があり、この義務は離婚しても免除されません。ちなみに未成熟子とは、未成年に限らず、経済的・精神的にまだ自立できていない子どものことを指します。
養育費に含まれるものは、衣食住に必要な費用、教育費、医療費など、子どもの生活にかかる費用全般です。
︎過去の収入の調べ方
では、養育費の基本となる過去の収入の調べ方を解説します。養育費を決めるためには、両親の収入を把握しなければなりません。年収を確定させるために勤務先から得た源泉徴収票や、行政機関から得た課税証明書などが参考になります。場合によっては、給与明細や賞与明細も資料にすることがあります。
また、収入がなかったり低かったりする場合でも、本来ならもっと働いてお金を稼げると判断された場合、潜在的稼働能力という観点から評価されることもあり、実際の収入より高い額を養育費の基準とされることもあります。
養育費の計算方法
過去の収入状況を確認し年収を確定できたら、父母それぞれの基礎収入を計算します。養育費には、弁護士事務所調べなどで出された統計や相場がありますが、個人の収入状況によって、基準の養育費用は変わります。
︎基礎収入とは
年収の総額から養育費に当てるべきではないとされる金額を控除したものを基礎収入とするのですが、年収によってその割合が変わります。また、会社勤務か、自営業者かの違いによっても変わります。年収が低いほうが基礎収入とされる割合は高く、年収が上がると基礎収入の割合が低くなります。
︎子どもの生活費を計算する
親の年収と基礎収入を父母それぞれで確認したら、次に子どもの生活費を計算します。子どもの生活費を計算する際、子どもの生活費指数というものを参考にします。このとき、扶養するべき子どもの人数、年齢がかかわってきます。
まず基本的な考え方として、生活費指数とは親の収入を100とした場合に、子どもの生活にあてるべきお金の割合のことをいいます。養育費を支払う方のことを義務者、養育費を受け取る権利がある方を権利者と呼びます。
子どもが14歳以下であるとき、割合は62です。子どもが15歳以上であるとき、割合は85です。この割合は、子どもの人数分足します。計算式は、義務者の基礎収入×子どもの生活費指数の合計÷(100+子どもの生活費指数の合計)=子どもの生活費です。
︎養育費分担額を計算する
子どもの生活費の総額が分かったら、養育費の支払い義務者が払うべき額を計算します。計算式は、子どもの生活費総額×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)=義務者の養育費分担額です。夫婦間で月払いの取り決めがある場合などは、計算した額を12で割ることで月額を出します。
以上が養育費の計算の仕方ですが、自分自身ですべて計算するのは大変となるうえ、資料や計算に偽りがないことを証明するためにも、夫婦間で話しながら、もしくは弁護士に相談して計算することをおすすめします。また、養育費計算ツールなどもあるので、気になる方はざっと計算してから専門家に相談するのもよいでしょう。
養育費を決めるときの注意点
最後に、養育費を取り決める際の注意点をいくつか紹介します。養育費を支払うのは親の義務ですが、親にもその後の生活があります。理不尽な額を払わないで済むように、冷静に話し合いを進め、専門家の力も借りましょう。
︎夫婦間で話し合う
まずは、夫婦間で養育費について話し合いましょう。離婚を決めている場合、冷静に話を進められないこともあるかもしれませんが、子どものためと思って丁寧に対応してください。上記で養育費の出し方を紹介しましたが、基本的には夫婦間でお互いの合意があれば、養育費の額や支払い方は自由に決めて大丈夫です。
主に4つのことを決めます。1つ目は、養育費自体の支払いをするかどうかです。離婚にいたるまでの理由によって、または親権者の収入によっては支払いたくない場合もあるでしょう。2つ目は、養育費の支払い期間です。いつから支払いはじめていつ終了するのか、子どもの成長や収入の状況によって変わるでしょう。
3つ目は、支払い金額です。子どもの生活に支障がない金額が前提ですが、こちらも夫婦間の状況によってさまざまなパターンがあります。4つ目は、支払いの方法です。経済的に余裕があり、その後の関わりを望まない場合などは、合意があれば別れる際にまとめて渡すことも可能です。
最低でも以上の4点は、最初に確認しておきましょう。
︎話し合いでまとまらなければ調停を行う
夫婦間の話し合いでまとまればよいですが、状況や心情的にうまく話が進まないことはよくあります。そういったときは、家庭裁判所に調停を申し立てることになるでしょう。調停では、双方の意見を中立の立場で聞いて判断してくれます。
また、顔を合わせたくなければ、会わずに話を進めることも可能です。調停はあくまで話し合いで解決を目指しますが、双方の納得が得られない場合、審判がくだされます。審判までいくと最終的な判断がハッキリと示され、法的な強制力も生じます。
時間はかかりますが、公的な場所で出された結論であればお互い納得するしかないので、長引く前に審判を求めるのもよいでしょう。
まとめ
この記事では、養育費の計算方法をご紹介しました。夫婦が離婚する際は、精神的にも身体的にもきつい状況にあることがほとんどでしょう。養育費以外にも決めるべきことは、たくさんあります。
しかし、子どものことを思い、冷静に対応していってください。弁護士などの専門家にもきちんと相談し、第三者に入ってもらうことで、その後のトラブルを防ぐことも大切です。新たなスタートを気持ちよくできるように、正しい方法・順序で、養育費を決めてください。