養育費が高い!生活できない場合は減額できる?
公開日:2023/09/15 最終更新日:2023/07/05
適切な養育費を決めることは、子どもをもうけた後に離婚する夫婦にとって大切なことです。しかし、ひとり親家庭の貧困が問題になる一方、支払う親にとっても高すぎる養育費が負担になることがあります。この記事では、養育費が高くて生活できなくなる理由や養育費は減額できるかどうか、さらに養育費保証サービスなどについて解説します。
養育費が高く生活できなくなる理由
近年、ひとり親家庭の貧困が社会で問題になっています。原因としては、養育する親があまり収入を得られないことのほか、適切な養育費を払ってもらえないこともあげられます。その反面、養育費を支払う親にとっても高額な養育費が生活を圧迫するという現実があります。まずは、養育費についてと養育費が高くて生活ができなくなる理由について解説します。
養育費とは?
養育費とは、両親が離婚した子どもが社会的、経済的に自立するまでに必要とされる費用のことです。この費用には、衣食住にかかる費用はもちろん、医療費や教育費なども含まれまれます。支払金額については、一般的に離婚する父母間の話し合いで決められますが、意見がまとまらない場合には、家庭裁判所の裁判官など、第三者を交えた話し合いへと発展します。
養育費が高くて生活できなくなる理由
養育費が高くて生活できなくなるというと驚く人も多いかもしれません。実際には、生活できないとまではいかなくても、養育費の支払いによって自身の生活レベルを大幅に下げなければならない場合もあるという表現であれば、理解しやすいかと思います。
その理由は、養育費が生活保持義務をもとに決められることにあります。生活保持義務とは養育費の支払い者に課される義務であり、両親が離婚してしまった子どもに対して自身の生活水準と同レベルの生活を保障する義務です。一般的に、養育費の相場は養育費算定表から調べられます。しかし、具体的な金額についての明確な基準はなく、養育が必要な子どもの人数や年齢、さらに支払い者や子どもを養育する親の年収や就業形態などを考慮して決められます。
ただ、どのような金額になったとしても、支払い者は自身の生活費を稼ぎながら離れて暮らす子どもの生活費や教育費などを、子どもが自立するまで継続的に負担する必要があります。そのため、長期的に見ると金銭的な負担はかなり大きいといえるでしょう。しかも、なんらかの事情で支払い者の収入が減ってしまった場合でも、一般的に養育費の支払い義務はなくなりません。
さらに、養育費を公正証書などであらかじめ書面にしていた場合には、支払いを怠ると裁判所によって給料などを差し押さえられる可能性もあります。このようなことから、養育費の支払いによって、自身の生活レベルを大幅に下げる必要が出てきます。
養育費を減額することは可能?
結論から述べると、場合によっては高すぎる養育費の減額は交渉次第で可能になります。ここからは、養育費を減額できる主なケースを4つ紹介します。
養育費を支払う親の収入が減った場合
ひとつ目は、養育費を支払う親の収入が大幅に減ってしまった場合です。ただし、減額を認められる可能性があるのは、養育費を支払う親がリストラにあった場合や病気などで減額せざるをえないケースに限ります。ゆとりのある生活をしたいからといった理由では、まず減額はできないと考えましょう。
養育費を受け取る親の収入が増えた場合
ふたつ目は、養育費を受け取る親の収入が増えた場合です。具体例をあげると、養育費を受け取る親が就職や転職、昇給などを経て、収入が増えたケースなどが当てはまります。
養育費を支払う親や養育費を受け取る親が再婚した場合や出産した場合
3点目には2つのケースがあります。まず、養育費を支払う親が再婚によって新たな子どもをもうけた場合や、再婚相手の子どもと養子縁組した場合です。このケースでは、養育費を支払う親の金銭的負担が大幅に増えるため減額できる可能性があります。
そして、養育費を受け取る親が再婚することで、子どもと再婚相手が養子縁組した場合です。このケースでは、再婚相手が子どもの第一次扶養義務者となるため、減額できる可能性があります。
養育費が相場よりも大幅に高い場合
4点目は、相場よりも大幅に高い養育費を支払っている場合です。一般的に養育費は離婚する夫婦の合意によって決められます。そして、その相場は養育費算定表である程度は決まっているといえます。そのため、算定表をもとにした金額よりも現在支払っている養育費が大幅に高い場合には、減額が認められる可能性があります。
養育費保証サービスの利用も検討しよう
養育費は支払う側にとって離婚後の大きな支出となります。また、なんらかの事情で支払えなくなった場合には、離れて暮らすわが子に貧しい生活を強いることになるかもしれません。そこで、養育費を決める場合には、養育費保証サービスの利用も視野に入れるのがおすすめです。
養育費保証サービスとは、養育費の支払い者が養育費を払えなくなった場合に、保証会社が一時的に養育費を立て替えてくれるサービスです。あくまでも建て替えなので、支払い者はいずれ未払いの養育費を保証会社に返済しなくてはなりません。しかし、法的な手続きや費用が発生しないうえに、一時的に養育費が払えなくなった際のリスクを抑えてくれると考えれば一度検討する価値はあるでしょう。
まとめ
この記事では、養育費が高くて生活できなくなる理由や養育費が減額できる可能性のあるケース、さらに、いざという時に子どもを貧困から守ってくれる養育費保証サービスなどについて解説しました。離婚後も子どもが一定の生活水準をキープして幸せに暮らすためには、養育費の支払いが大切です。しかし、高すぎる養育費の支払いによって、支払い者は自身の生活水準を大幅に下げなくてはならない場合もあります。