養育費保証サービスには審査がある?審査対象は受取人じゃない?
公開日:2023/01/15 最終更新日:2023/01/12
離婚して子どもと同居しない片方の親は、親の責任として同居親に対して養育費を支払わなければなりません。しかし、養育費は取り決めをしたにもかかわらず不払いになることがあり、それを防ぐために養育費保障サービスがあります。そこで本記事では、養育費保障サービスとは何か、また審査についても解説します。
養育費保証サービスとは
離婚する夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、子どもと同居する親のことを監護親、子どもと同居しない親のことを非監護親といいます。監護親は子どもと同居するので、自然と子どもの生活費を負担することになります。
一方で、非監護親は直接的に子どもの養育費を負担することはないものの、子どもを育てるための費用負担がなくなるわけではありません。基本的に養育費の支払い義務が生じ、子どもが20歳になるまで支払い続けるよう決められています。
ただ、離婚時に養育費についてきちんと話し合ったとしても、支払いが滞るケースも少なくありません。実際に母子家庭のうち、養育費を受け取っているのは4世帯に1世帯となっており、もらえるはずのお金を受け取れていない現状があるのです。
ただ、そのような状況でも養育費の受け取りが可能になるのが、養育費保障サービスです。このサービスは、支払義務者が養育費の支払いを拒否した際、保証会社が立て替えて支払いを行い、保証会社が支払義務者に対して督促・回収するのが特徴です。
利用するには、受取人と保証会社の間で「保証契約」、支払義務者と保証会社の間で「保証委託契約」を結びます。というのも、受取人が勝手に保証会社と契約をすると、立替金を回収できなくなりリスクがあるでしょう。
そこで、支払義務書と保証会社間でも契約を交わし、償還の約束をしてから運用を開始する必要があるのです。なお、受取人は保証会社に対して毎月保証料を支払うことになります。
養育費保証サービスの審査は支払人が行われる
養育費保障サービスを利用するときは、保証会社による審査が行われます。ここで審査の対象になるのは、受取人ではなく支払義務者です。というのも、保証会社は支払義務者の養育費の支払いを保証するものだからです。そのため、受取人に対する審査はありません。
また、サービスの利用を開始するためには、事前に準備しておかなければならないことがあります。まず、養育費に関して取り決めをしておくことです。毎月いくら支払うのかなど、具体的な内容を決めておかなければ保証できません。
また、申し込みには双方の合意が必要なので、支払義務者を説得しておく必要があるでしょう。支払い側に拒否されれば、サービスに申し込むことができないため、きちんと説明して納得してもらう必要があります。
また、毎月または年払いで保証料が発生することも知っておきましょう。通常、受取人が保証料を支払いますが、相手方に負担してもらうのが理想的です。ただ、養育費と保証料の両方を負担してもらうとなると、交渉が難航する可能性があるので慎重に判断する必要があるでしょう。
支払人の事情によっては審査に通らないこともある
養育費保障サービスを申し込むときは、保証会社が支払義務者に対して審査を行います。この審査は全員が通過できるものではありません。また、保証会社によって審査内容が異なり、A社の審査が通ったものの、B社の審査が通らなかったというケースもあります。
ただ、3つの条件に該当している場合、審査に通過するのがむずかしいといえます。まず、審査を受ける段階で、養育費の支払いが滞っているケースです。すでに不払いが始まっていると、そもそも申し込みを受け付けていない保証会社が多いので注意しましょう。
さらに、支払義務者の同意が得られていない場合も、申し込みできないケースがあります。保証会社は支払義務者の連帯保証人になり、不払いが生じた際に立て替えをします。連帯保証人になるためには支払義務者と保証委託契約を結ばなければならないので、合意がなければ契約できないでしょう。
最後に、債務名義を持っていないケースです。債務名義とは強制執行できる権利を示す公的文書のことですが、この書類の提出を求められることがあります。ただ、この条件に当てはまっていても、保証会社によっては対応してくれるケースがあるので相談してみることをおすすめします。
まとめ
離婚するときに養育費について取り決めをしても、不払いになって子どもと同居する家庭の生活が困窮するケースも珍しくありません。実際に母子家庭で養育費を受け取っているのは4世帯に1世帯となっています。そこで、子どもの将来や生活を保護するためにサービスが考えられました。
ただし、申し込みをするには双方の合意が必要であること、さらに支払者が審査に通過しなければならないなどのハードルもあります。とはいえ、安心した生活ができるサービスなので、利用を検討してみましょう。